エンゲージメントとは?

エンゲージメント(Engagement)とは、「対話すること」「関わること」を意味します。
投資の世界においては、主として投資先企業に対して、企業価値が向上するような提案や提言を積極的に行うことを指します。

近年、投資家の世界では、以下の2つの観点においてエンゲージメントは重要視されています。

①投資先企業の活動をモニタリングするという規範(コーポレートガバナンス・コードや日本版スチュワードシップ・コードなど)の観点からの責任

②投資手法として、企業価値を向上させるために投資先企業のトップマネジメントや取締役会メンバーと対話を行うというアプローチ

マネックス・アクティビスト・ファンド(以下:MAF「まふ」)では、②を投資の成果(リターン)の源泉としてエンゲージメント活動を実施しています。

なぜエンゲージメントが必要なのか?

企業の経営者の視点から見ると、自分たちだけで、企業を経営していると近視眼的になってしまう可能性が高くなります。もちろん、企業について一番詳しいのは、内部者ですが、企業を取り巻く環境や世の中の流れが変化したことに自分自身で気づくのは非常に難しいのです。

また、企業によっては、存続や安全性を優先するあまり、成長に向けた投資が適切に行われていなかったり、過剰な資金を内部に留保したりということがあり、これは資金の提供者である株主にとって、また従業員やお客様にとって企業の真の価値が追求、提供されていない状態です。そんな時、業界や世界の動向を熟知している外部者である投資家が、エンゲージメント(対話)を通じて経営者に「気づき」を与えることができます。

既に、企業経営者自身が「変化が必要だ」ということに気付いている場合もあるのですが、内部者だけで考えていると、「今までやってこなかったから」とか、取締役会の反対意見があって行動に移せなかったりします。その状態の時に外部との対話があると、「変わらないといけない」と動き始めることがあります。

こういった理由から、企業経営者にとって、外部とのエンゲージメント(対話)は有益なのです。

なぜエンゲージメントが必要なのか?

エンゲージメントは投資先企業だけとするものなのか?

投資先企業と対話するのはもちろんですが、MAF「まふ」は企業の関係者(ステークホルダー)とのエンゲージメントも重視しています。

例えば、運用報告セミナーや個人投資家の皆さまからのご意見フォームを通じて個人の皆さまの「声」を集めて企業に届けています。企業の製品やサービスの消費者、企業の従業員や取引先となりうる個人の方々からのご意見は、MAF「まふ」の投資に関わる機関投資家の意見を強化し、「個人投資家がこう言っています」といった提言は経営や取締役会には意外と新鮮で「やはりそうか」と感じて動き始めることもあるのです。そのため、株主、消費者、従業員などそれぞれの立場に基づいて声をあげることには意味があり、そのような活動をする人を「アクティビスト」と呼びます。

エンゲージメントは企業経営者にとっては、良い刺激に
なって、実際に経営を変えていくことに役立ちます。その結果、経営状態が良くなって企業価値が向上し、企業の株価も上がっていくことにつながります。

また、中央官庁と規制・ルールについての議論や、メディアを巻き込んだ提案、提言を行うこともエンゲージメントの一つと捉えています。

エンゲージメントは投資先企業だけとするものなのか?

MAF「まふ」の
エンゲージメントの優位性

① ネットワーク

松本大(マネックスグループ代表/カタリスト投資顧問取締役会長)がこれまで築き上げてきた人的ネットワークを最大限に生かすことで、早い段階からエンゲージメント先の有力者(企業であれば経営陣、中央官庁であれば幹部など)と対話の機会を持ちやすくなっています。

海外のアクティビストファンドや小規模の機関投資家の場合、コネクションや人的ネットワークに乏しいため、企業に対してレターや書簡を送ることが多く、経営陣に直接
会って対話の機会を持つことは簡単ではありません。

このように「企業経営陣への柔軟なアクセス」においても、MAF「まふ」は他のアクティビストファンドにはない優位性を持っていると言えます。

② 変革期にある企業にアプローチ

投資家は企業の外部者として、業界や世界での動向をもとに企業価値創造に向けた新たな視点を企業の経営者へ提案します。一方で、実際にそれを実行するのは企業の経営者になるので、やはり変革に対して前向きで執行の能力が高くないと折角の提案がよりよい経営に繋がりません。

従って、MAF「まふ」では、変革期にある企業に的を絞ってエンゲージメントをしていきます。もし、エンゲージメントの早い段階で変革が難しいと示唆するような印象が
あった場合には、他の企業へ焦点を移し、投資家としての限られた時間とエネルギーを有効活用するように努めま
す。

③ 包括的なエンゲージメント

MAF「まふ」は「全方位対話のアプローチ」を目指します。投資先企業の経営者だけでなく、個人投資家や機関投資家、また、政府と規制・ルールについての議論や、メ
ディアを巻き込んだ情報発信など、包括的なエンゲージメントを実施しています。

エンゲージメント事例(さらに詳しく)

啐啄同時のエンゲージメント

MAF「まふ」が理想とするエンゲージメント(対話)は、“啐啄同時”(そったくどうじ)という、禅の考え方です。経営者や企業が変化しようとしている時に、外部から手助けできることが、エンゲージメント投資の理想であると考えています。

“啐啄同時”(そったくどうじ)とは

「啐」とは雛が殻を割ろうとして内側からつつく音。
「啄」とは親鳥が殻を割るために外からつつく音。

卵から雛がかえる時に、
内から雛が、外から親鳥が殻を同時につつきあうと、
雛はうまく外の世界に踏み出せる、という教えです。
雛が準備できていないのに、外からつついてもうまく出られず、
一方で雛だけが中からつついても、またうまく出られない。

これは企業経営でも同じだと考えています。

“啐啄同時”(そったくどうじ)とは